第9回東北屈折矯正研究会

【 更新日:2013/03/27 】

小笠原 孝祐
当院における多焦点眼内レンズの導入と術後成績

多焦点眼内レンズの開始にあたっては①術者としての技術と注意点の習得、②自由診療への対応と事務管理、③術前の説明(カウンセリング)とその時間の確保、④手術適応の選択基準の決定、⑤術後クレームへの対応と対策、⑥術前、術後検査機器の整備(瞳孔径計測器、角膜形状解析装置、コントラスト感度測定器等)⑦術後屈折誤差の追加矯正への対応、⑧スタッフの教育、が必要な準備項目として考えられる。当院では8年前からLASIK手術を施行してきた経験が多くの面で役立ち、多焦点眼内レンズの導入は比較的スムーズに行うことができた。
 当院では平成20年8月26日から多焦点眼内レンズ挿入手術を開始し、平成21年6月末までに13名24眼の手術を施行した。手術症例の内訳は男性4名、女性9名、年齢は36歳~78歳(平均年齢54.8歳)である。使用した眼内レンズはすべて回折型であり、Acri.Tec社製Acri.LISAR9例16眼、Alcon社製ReSTORR3例6眼、AMO社製TECNISRMultifocal 1例2眼である。また、3眼にLRIを併施した。術前矯正視力は0.1~1.0(平均0.37)であり、術後の結果については遠方視力、近方視力(約30cm)ならびに中間視力(50cm~1m)について測定、評価した。また、コントラスト感度についても検査を行い、単焦点眼内レンズ(イエロー、非球面、AcrySofRSN60WF IQ)ならびにLASIK術後眼との比較も行った。術後遠方裸眼視力は0.7~1.2(平均0.92)であり、術後近方裸眼視力は0.5~1.0(平均0.7)と良好な結果を得た。回折型の眼内レンズを使用した場合に視力が低下するといわれている50cm~1mの視力については、50cm視力は0.4以下の症例が存在したものの、自覚的な不満の訴えはなかった。また、1m視力については全例0.6以上であった。
 術後の満足度についてアンケート調査を行った結果、とても満足が約20%、満足が80%で不満と答えた症例はなかった。しかしながら、コントラスト感度は有意に低下を認め、それに起因すると思われる夜間視力の低下やグレア、ハローが気になると答えた方が約20%存在した。

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